ニュルンベルク2006ってもう三ヶ月前なんですね。
早ッ!するってえと新作っていうほど新作でもない気がしてきましたが
たぶん日本未導入の新作をば。
あいかわらず、
読みようによってはルール和訳の体。”「万里の長城(Chinesische Mauer)」”一応もなにも、これ、クニツィア作の小箱カドゲです。
にしても本当に多彩というか多作な人ですな。
例によって見たことあるシステム満載ですが、ゲームそのものはとてもオモシロだったり。
そんな匠の技が感じられる一品。まずは箱絵。

犬だかなんだかよくわからん感じですが
竜です。ドラゴン。
なんというかこう、見るからに
「買う気失せる」というか
「オモシロくなさそう」な箱がアレですが、
遊んでみると意外にイケてます。
なにするかってえと、万里の長城建設。
皇帝の命を受け、作りますとも地方の官吏が。
建設の効率化を図る為かどうかは知りませんが、
あのでかい壁を作るにあたって採用されたのがブロックごとの建築。
まずはこちらのプレイ風景をば。

4人プレイ時の場はこんな風。
4ブロックに分かれていて、それぞれ建築に貢献したことによるボーナスというか皇帝からの褒賞が並んでるのがオレンジの小さいタイル。各ブロック2個ずつ並びます。
1個がカードの上に載ってたりするのは、
「仮獲得済み」のタイルです。まあ、獲得しているには違いないのですがね。そういう概念。2枚目のタイルが獲得された時、ようやく二つのタイルはそれぞれの獲得者の手元にいきます。で、獲得者はタイルを手元で裏返しに置いてはじめて得点が確定すると。
ブロックに置かれていたカードはプレイヤーに関係なく全部捨てられて一掃。新たなタイルが2枚引かれて、また新ブロックの攻防が始まると。
・・・・ちょっとわかりにくいですかね。この文章。申し訳なし。
タイルを獲得するには、自分の資材(やら何やら)を各ブロックに配置することで建築貢献を主張すると。
ま、ようするに最多争いがどうこうってヤツですよ。いつもの。資材として用いるカードたちは、全て個人管理、個人山札。
各人20枚の専用デッキを手にして戦います。構成は一緒ですよ、もちろん。青が守りが強くて、赤は攻撃的、緑は特殊効果がどうこう・・・とかはないです。
手札は初期5枚。ランダムで手元に来るので、戦略は自然と異なってくるはず。
手番に出来ることはとてもシンプル。
手札からいずれかのブロックにカードを一枚配置する。
山札からカードを一枚補充する。この選択を手番に2回できます。
「ドロー&プレイ」とか「ドロー&ドロー」とか。状況と戦略に応じて。
あとはまあ、カードの特殊効果の妙を楽しむってな感じなんですけどね。
それだけじゃ終わりませんよ。ええ。
問題になるのが、各ブロックでの「最多確定のタイミング」。自手番の選択2回の前に、実は「最多確認」っていうのがありまして。
自分の手番が回ってきたときに、自分のカードが最多になっているブロックがあればタイルを獲得できると。あくまで自分の手番が回ってきた瞬間です。手番でね、一時的に他者を圧倒するってのは簡単なんですが、一巡逃げ切るってのがまた大変なんですな。
邪魔されます。そりゃもう。
では
誰が邪魔するのか? これがオモシロな部分ですなー。
邪魔する=叩き合いになるので、カードを消耗してしまう。タイルを獲得できても出来なくても、置いたカードは全部捨てられてしまう。だから無駄遣いはしたくない。
「ちょっと邪魔しとく」とかがないんですね。
やるなら叩きのめす。これですよ。
まあ、「二番でもいいか」みたいなときもありますけどね。それはもうタイル次第ですが。
あと、状況次第ではそのくらいの小得点なら・・・みたいなスルーもあります。そんなの邪魔するくらいなら他の大得点を狙うわな、みたいな。
色んな思いが錯綜しますねえ。いいゲームです。

さっきの画像より地味になりましたが。
つか、
「二番」ってどう判断するのさ? という話。
一番下の列見てください。青が既に7のタイルを仮獲得してるんですが。
ちなみにこの「1+」とか書いてる戦士のカードはですね、コロレットばりの三角数で強さが増加するというスグレモノ。3枚あるんで強さ6ですな。するってえと、茶色の4よりも強いのは明白。
あ、全然関係ないですが、
画像処理の関係で赤と茶色が見分けにくくなってます。実物はこんなに視認性悪くないです。それはともかく。
青は既に7のタイルを仮獲得してるわけですが、それでもなお
残り一枚のタイルの獲得権を失っているわけではないんですよ。
どういうことかと。
自分の強さからタイルの得点を引きます。この場合、6-7で「-1」。
この数字が他者よりも上回ってれば更に獲得のチャンスが!
ま、この場合は茶色が4なので、茶色の手番が回ってくれば確定するんですけどね。
でも、
「タイルの点が小さい」「カードがやたら強い」「自分のカードしか配置されていない」などの理由により、タイル2枚をダブルゲットすることは十分に可能なんですよ。
単純にカードの数字だけで判断しない、だから「二番」もこんな判定。
勢いあるんで、カードの紹介とかも!

こういう感じのカードがですね、各人の山札にいい感じの割合で入ってます。
ザっと説明すると、
数が集まると強い戦士、
カードを刷新、無効化する竜、
「侍」ばりに手番にプラスして駆けつけてくる騎兵、
数値を無効化してカード枚数争いにする貴族、とかなんとか。
わっかりやすーい特殊カード揃いです。
馴染みあるというか。んで。
私は本作は2人プレイと4人プレイで遊んでみたんですが。
2人プレイでもまあ遊べます。
とはいえ、3~4人で遊んだほうがいいですね。やっぱり。
誰がそのブロックを取るのか、誰がその邪魔をするのか、という攻防がありますし、
攻める方にも
「無事に一巡できるか」「見逃してくれ」とかいうドキドキ感が。
たぶん
これが本作の醍醐味だと思うので余計に多人数プレイを推奨。
クニツィアなジレンマかどうかは謎ですが、
「くぅぅぅ」ってなるのは必至のオモシロ。そういや、タイルとカードの枚数のバランスがとてもいい塩梅です。
本当にクニツィアはバランスの鬼ですな。
あんまり「喧嘩」するとゲーム終盤まで頑張りきれないくらいのカード枚数。褒賞タイルは思ってるよりも沢山あるので、なんでもかんでも邪魔ばかりでなくって、多少はスルーしつつ自分可愛い感じで立ち回る楽しさというかなんというか。
最多モノではあるんですが、競りゲーに似た感覚があります。複数の場で同時に進行する競り。この数字ならこのくらいのカードパワーで取らせておくれよ、みたいな。
それは安すぎる、高すぎる、みたいな発言も飛び交いますし。
いやもちろん最多モノは少なからずそういう競りな要素を内包してはいるんですが、なんというかそれが顕著に感じられる本作。
タイルを効率よく、勝ち取っていきたいもんですなー。そんな妙味。
箱絵はアレですが、いいですよこれ。
小箱のカドゲですし、
安価でオモシロ。「コスモスって高いのにアレなのが多い」みたいな印象を払拭してくれた本作です。
スバラシイ。
バンリー。バンリー。
レポどーもです。
「最多数と次最多数」の駆け引きという点で基本は「フリント船長の財宝」ですが、「さらに大人風味に味付けしてみました」って感じのゲームでしょうか。
最近のクニ先生はこの手のシステムがお好みなんですね。
これで本作が国内価格2~3千円代となったら、「フリント・・・」の傍若無人な価格設定との関係で物議を醸し出しそうな予感も。
被害妄想気味ですね、私。
このゲームは如何にイヤミなく無駄なく高得点を取れるか、な感じ。高得点タイルは結構な枚数があるので、自分にその獲得チャンスが巡ってきたときに・・・・みたいな。
たぶん国内流通は2800円くらいかと推測。
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[2007/10/26 08:13]
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カードゲーム事始