毎度、biscoです。今日は例のアレです。
クニツィア今年の新作。ルール読んで衝撃受けて緊急入手。
これはヤバイです。別の言い方するとヤクイ(古っ。
ひっさびさにクニツィアが我々に牙を剥きました。
確実に殺りにきてます。気を抜くと即死です。
適正な数字と確率計算の深遠なる宇宙がココにあるっ!!
「ロス・バンディット(Los Banditos)」ヤツは本当に天災(文字通り)ですよ・・・。
超長文。超詳細。やってしまいました。超反省。
以下。
ということで本作。
あまりにも苦しい内容に唖然(色んな意味で。
練りに練られ、計算され尽くしたシステムの上で稼動するゲームです。
極限まで無駄を削ぎ落とされたルールには感動すら覚えます。
ただ、それがイコール傑作なのかと言われると正直疑問。
「良システムに神は宿るが、必ずしも良ゲームではない。」残念ながら、これは真理です。本作はまさにそういう類。
悪くはないです、とても手軽に遊べますしオモシロいとも思います。
でも人を選ぶでしょうね。確実に。
そのあたりはこの所感読んで判断してください。
ただまあ、極めて「遊んでみないと実感できない」ゲームなので、
僕の言葉では足らないかもしれませんが。
それじゃ、そろそろルールの話でもしましょうか。
かなり細かく書きます。間違いなく読んだら遊べるレベル。
まあね、本作はそれもやむなし。なんせルール量が少なすぎる。
そしてコンポーネントがショボすぎる。
自作したらいいんじゃないですかね?先に前提として知っておいて欲しいのが、
本作はショッテントッテン、バトルライン、タブララサなんかに代表される、
あの系統のゲームです。プレイ感は恐ろしいまでに異質ですが。
なんていうかね、
ままならない苦しさだけを抽出してジレンマと一緒に煮込んで濃縮しちゃった感じ。プレイヤーに全く優しくない、ひっどいゲームですよ。大我慢大会ですからね。
一番説明したい核になる新ルールの話は、
多分だいぶ下段の方になると思います。毎度、冗長ですみません。
まずは箱。

コスモスの二人用シリーズをかさ高くしたサイズ。
Easyplayシリーズです。なんでしたっけ?ほらビッグポイント?だっけ?のあれ。
書いてる通り、本作は二人用。ガチの二人用。
バンディットたちが大金を前にダイス振ってます。
これでダイスゲーじゃなかったら笑えるんですが、もちろんダイスゲーです。
箱開けます。

ね、作れそうでしょ?シンプルなコンポーネント。
4色x6個のダイス、計24個。
1点から3点の、奪い合う対象となる戦利品タイル。
ダイス役の強さを表示する小さなボード。
専用の黒い袋(中身が見えない。
以上です。
役の強さとかは後述しますがショッテントッテンとかより増えてます。
タイルの構成はクニツィアらしいですね。
ちなみに全部合計すると19点あります。
ゲームの目的は至極単純です。
この戦利品タイルを取り合います。
勝利条件は10点以上獲得した時点で終了、勝利と。
全部で19点しかないんで決着は必ずつきます。
概してもつれ込むようになってます。そういう風にできてます。
あ、そうそう、本作のルールの性質上、
9点までは取られても構わない、と考えることが重要です。
損して得とれの精神ですね(ちょっと違う。
セットアップ。

タイルを4つ並べて、横に残りのタイルを裏向けにスタック。
別に置かなくてもいいんですが、強さ表示ボードを置いておきます。
これらのタイルを取ったり取られたり。取ったら手元に表向けて置いときます。
1個がなくなったら、スタックから即座に1個出します。即座です。重要。
常時4列を対象に(山切れしたらそれ以下で続行)自分側にダイスを並べます。
もちろん従来品よろしく、ダイス3つで役確定。3個以上は置けません。
自分側には最大で3x4の12個。x2ですから24個。数足りてますね。
ま、置ききることなんてありえませんけども。
強さボード拡大。

上から強い役が並んでます。
ちなみに、このボードの裏は役名が英語表記されてます。
・・・・そっち撮ればよかったなあ。失敗した。
でもほら、ご覧の通り役が増えたり変更されてます。
使うのがダイスなんで、同色同数がありえますね。これ最強。まず作れませんが。
残りが上から、
同色ストレート、色問わず同数、色問わずストレート、
2個だけ同色同数、2個だけ色問わず同数、役なし、
となってます。
役が同じなら数字の大小を比較、それも同一なら先に役を完成させてたほうが勝ち。
色問わずの場合は、別に色が全部バラバラである必要はありません。
ダイスだからこその可能性に配慮した役設定です。
しかし、遊べばわかりますが、上のほうの役を作るのは本当に難しいです。
とてもままならないので、結局上位役が崩れて中役くらいに落ち着くことが大半。
この役設定で上手いなと思うのが、従来品にはあった同色数字問わずがないこと。
だもんで、1番が崩れると3番に、下手すると一気に5番まで落ちます。
厳しいです。しかも5番落ちとかかなりの高確率で起こります。そういう風に出来てます。
逆に2番は崩れたら4番、総崩れで7番です。丁度間埋めてますね。リスク管理大切。
ってな感じなので、夢ばかりみてると勝てません。しかし、上役も狙わないと勝てません。
妥協点を探すのが従来品よりもシビアなバランスどりです。
そういう意味ではダイスゲーらしいダイスゲーですね。
ゲーム開始。

黒い袋に詰め詰めされたダイスを、中身見ずに引きます。
先手の初手番のみ1個引きで、以降はずっと2個引き。
ダイスを袋から取り出したら、すぐに振る。そう、振る。
振った目をそのままに、好きなタイルの前に並べていきます。強い役を作れるように。
つまり、毎度配置する数字も色も完全にランダムです。運です。
戦略たてても意味ないとか言う人がいるアレです。ほら、人を選ぶ。
ま、確かに究極的に言えば、引きたい色を引いて、出したい数字を出せれば勝ちます。
ただそんなことを出来るのは神様だけなので、
それを出来ない我々はひたすらに少しでも前へと足掻くんですよ。
とても哲学的ですね。でもそれが本作の本質。
ちょっと先に進んだ画像。

双方、4列全部に配置を開始しちゃってますね。
こうなると途端に苦しいです。悶絶します。
なんせ4列しかないのに、1手番にダイス2個置きですからね。
すごい勢いで手元が狭くなっていきます。
しかもダイス目に翻弄されて、もうガンガンで可能性が削れます。
これで本当に役作れるのか?ってレベル。
従来品を遊んだことがある方なら、そのキツさはご理解いただけるはず。
もちろん、役なんて作れません。しかし作れないからこそのアプローチがあります。
にしても、さっきから遅々として話が進んでませんね。すみません。
あ、ダイスの配置ですけども。
都合、1手番に2個配置しますが、概念としての同時配置ではありません。
好きなほうをまず任意の列に1個置いて、次にもう1個任意の列に置く。
どうしてかというと、これまた任意選択のアクションがあるから。
手番に出来るアクションは2つ。
ダイスを振る前だろうが後だろうが、何回しようが任意です。
相手に黒い袋を渡す=手番を渡すなので、それまでならいつでも可。
1つめ。
任意の列に対して勝利宣言する。例のアレですね。
勝利した列のタイルを即座に受け取れます。
これは従来品と同じです。自分側に3つダイスを置いて役が確定した列で、
相手がこれ以降何置いても勝てないことを証明すると。
さてさて、ようやく核になるルールに辿り着きました。
それがアクション2つめ、
「列の放棄/敗北宣言」です。
任意の列に対して、敗北宣言ができます。意図的に負けるんです。
やり方ですが、振ったダイスのうち1個を使います。色も数字も何でも構わないです。
とにかく、ダイス1個を負けたい列に置く。
列に置く、が条件なんで自分の役が確定してる(3つ置いてる)列ではできません。
確定してて、相手の動向待ちだとダメってことです。
迂闊に確定させてると数少ない列なのにどうにもできないことに。
じゃ、役作るなってことか。どうすればいいんだ。
それはともかく。
敗北宣言したら相手役が未完成だろうががどうであろうが負けることができます。
どうして、そんなことをするのか。
このゲーム、タイルがとられたら即座にその列のダイスを全部黒い袋に戻します。
敗北宣言した場合は、その際使ったダイスも袋行き。
で、即座に新しいタイルを補充します。
もし、敗北宣言を1個目のダイスで行っていたら、
2個目のダイスを新規タイルの列に置くことが出来ます。
おわかりいただけましたでしょうか。
この行動を選択するキッカケは大きく3つ。
1、振ったダイスの色、数字がどうしようもない。
2、新規の列を開始したい。
3、黒い袋から引けるダイスの可能性を広げたい(&手詰まりを防ぐ。
ルールにのっている画像による説明が秀逸なのでそれを使ってみます。
ちなみに程度は違いますが、こういう状況が多々あるゲームです本作は。苦しい。

上図、プレイヤー1が黒の6と緑の1を振ってます。もちろん必ず配置しないといけません。
場を見ると、3点タイルの戦いが激戦です。青の6が欲しいところ。
でも青はもう場に6個出きってるので袋から引けることはありません。
このことからも、色指定の役は作るのがより大変なことがわかります。
できるだけ可能性を高めていくゲームなので、このあたりの役選択は重要です。
で、一番右列を見てみると何色でもいいので5を振ってきたいところ。
可能性は残したいんで、この列にはとりあえず今は置きたくない。
そこでプレイヤー1は左から二番目の列に緑の1を置くことを決断。
そして敗北宣言をします。結果、その列の2点は残念ながら相手に。
しかしその列に置かれていた全部のダイスが袋に戻ります。青も1個袋にいきました。
新たにタイルが置かれ、列が始まります。残った黒の6を置くことが出来ました。
残念ながら、相手が欲しがっている黒のダイスも1個袋に戻りましたが、
場を見てみると黒は計5個。引いてこれる確率は低いです。
あげく、黒以外を引いてくると新規列に2つとも配置しない限りは
両端の列ともに役が崩れる可能性が非常に高いというオマケ付。
比較してプレイヤー1の方が有利な状況が生まれています。
とまあ、こんな感じ。
なっがながと説明してみましたが、
本作は従来品同様、
「自分の可能性をいかに残し、相手の可能性をいかに潰すか」というゲームです。
しかし、
配置できる列の少なさ、手番に置くダイスの数、
引いてこれるダイス総数の少なさ、循環するダイス、
そして何より、置ける数字は運次第ということ。
これらの要素により、従来品と比較して
より軽快で、展開が早く、常にクライマックスで、
確率をないがしろにしない無駄のない配置が必要になりました。
やってることは、水張った洗面器に顔突っ込んで我慢大会、これです。
なんせ見渡さなければならないほど場は広くないので、
何を引きたいか、何を振りたいか、すぐに理解できます。
だもんで、ダイスゲーらしい「祈る」展開は容易です。問題ありません。
可能性を広げて、それがバッチリはまった時の嬉しさったらないです。ま、運次第ですが。
ただ、ゲームの性質上、消極的な流れに陥ることがままあります。
これを許せるかどうかで、本作の評価が変わってくるでしょうね。人を選ぶその2です。
例えば、
場にダイスが溜まってくる
↓
祈って引いて、祈って振る
↓
でも出ない
↓
敗北宣言で最悪の状況を回避。でも相手に得点はいく。
↓
相手の場もパンパン
↓
同様の思考
↓
また敗北宣言で得点が動く。
↓
双方とも負け負けの状態が続く。
みたいな。
基本、引いて振ったダイス目に依存するので、受身なんですよね、姿勢が。
もちろん従来品も受身なんですが、手札という存在があるので印象が緩和されてる。
残念ながら本作にはそれがない。
配置の苦しさをクローズアップ。本当にド直球ですからね。
まあダイスゲーらしいライトな仕上がりを狙っているはずなので
目指す地平からして違うんですけども。
それこそダイスを保持するようにしちゃったら、ダイスゲーにした意味がない。
秀逸なルールの良さが失われてしまいます。
ともあれ、猛烈に短時間ゲーなんで、パパッと続けて2回くらい遊ぶと楽しいです。
否定的なことも書きましたが、オモシロいゲームではあるので。
押さえるべきところは押さえたダイスゲーです。
そつのなさもクニツィアらしいって話。
ここまで読まれた方、お疲れ様でした。
僕も書くの疲れました。なんでこんな長文書いちゃったのかな?
今となっては勢いづいてしまっていたとしか・・・・。
ほんますんませんでした。
では。