あるぇー??なんでこんなに時間かかってんだろ(笑。
それはさておき。
残念なことに日本での知名度はかなり低いですが、
ほどほどの運とほどほどのパズル的思考が要求される、
隠れた良作として知らしめておきたい、
そんなボドゲの所感をば書いてみました。
個人的にはだいぶと好み。遊んでみないとわかりませんでしたが。
KOSMOSの前身、フランクコスモスから発売されていた
「ワバンティ(Wabanti)」です。ステキです。
気に入ってるんで超長文。
以下。
元々このゲームは作者の個人ブランドである
「Edition Perlhuhn」から発売されていたので、
フランクコスモス版はリメイクという扱いになるのかな?
んで。
正直言ってこのゲーム、僕も見た目の地味さから敬遠していました。
あんまりオモシロそうには見えませんしね。
でも遊んでみると印象は激変、
ヌルゲーマーな僕にも優しい口当たり、
ほどよいバランス感に評価は急上昇だったわけですよ。
やっぱり見た目で判断しちゃいけないですね。
最初は地味に見えた見た目も、
いまや豪勢かつ、見目麗しい感じに思えるから人の感覚って不思議です。
と、前置きはここまでにして。
まずは外箱。

フランクコスモスは細長い箱が特徴です。
あと、トレードマークであるところの金色の羽。
これはどのゲームにも共通して「ドーン」と描かれています。
そして横にゲームコンセプトである蜂&蜂の巣。
んじゃま、蓋を開けてみましょう。

これ以上ないくらいに簡素です。もういっそ清々しいくらいに。
入っているのは厚いフェルト製のマットに
金色に着色されたナット(!)とダイスが5個。終わりです。
でも布張りでキレイに区分けされたインナーのおかげで、
なんとなく豪華な感じがします。
僕なんかはプレイ後なので、オモシロかった分だけ見た目のプラス修正が入って見えてます。
贔屓目ってヤツです。
でもこのゲームは評価されてしかるべき。
ってな感じでプレイ開始の図。

マットなボードが品格に溢れてますね(まだ言ってる。
スタート時からただならぬ雰囲気ですよ、美しい(それでも言う。
四隅には蜂マーク、タイトル、メーカーロゴがあしらわれてます。
ヘクスな六角のマップ。蜂の巣っぽい。
中央にはさきほどのナットたちをセットアップ。
真ん中が1個だけあいてるのは開始時だけ。
プレイ中は普通にナットが存在できるマスに。
ルールはいくつか制限がある程度でとてもシンプル。
いやまあ、僕が文章にするとちょっと長いんですけども。
プレイヤーは六角マップ外周の一辺を担当します。
6辺あるんで6人までプレイ可能です。
でも構造的に最大でも三人、ベストは二人でしょうね。一応アブストラクトですし。
二人の場合は向かい合って座って、それぞれ自分の前の平行となる辺を受け持ちます。
辺=ゴールと見立てて、ナットを1個でも自分のゴールまで引っ張ってくるのが目的。
ナットは誰のものでもなく、プレイヤー全員で干渉します。
ナットの動かし方ですが、ちょっと変わってて、
手番にはまず5つのダイスを振ります。
で、出た5つの目をそれぞれふりわけて使用。
例えば3の目を使うことにすると、
一直線上に3つナットが並んでいる「群れ」を
ナットが伸びる方向へ前後どちらかに1マス動かせます。
ちょうど塊をずらす感じ。
でも実際には「ずらす」とまわりのナットに干渉して「ぐちゃらー」となるので、
おしりのナットをアタマに1個持ってくると。
ランドルフの「イモムシイモムシ」の動かし方みたく。
ダイスが5個あるんで計5アクション。
ちょっと文章長くなったんで、一旦画像いれます。
序盤。

なんのこっちゃわかりませんね。
ちょっとばらけたところなんですが。
と、ここで移動制限の話。
このナットの群れですが、
移動させることで一瞬でも「分断&途切れたり」することができません。
群れから孤立させちゃダメなんですよ。
これがやってみるとすごく効果的に機能してます。後述。
で、そこに留意しながらナットを少しでも自分ゴールに引きこんでくると。
が、
ナットの配置的にどうしてもダイスの目を使えない時が出てきます。
例えば6の目。かなり大きな群れを動かせる半面、
6個が直線に並んでる状況はなかなかないので使いどころが難しい目です。
ダイスの使用順序は任意なので、他の目を使って融通しながら
6の並びをつくり、動かす手間が必要だったりします。
どうあがいても使えないダイスができた場合、
その数だけ、次の手番に限って、振るダイスが減ります。
このゲーム、手番での手数が減るのは結構痛いので、
やりくりするのがとても大切。
でも6の目を1個消費するために、他の4個を使用しないと無理、なんてのは
その手番自体が無駄になる感じなので、
あくまで「自分側に引き寄せる」という目的との分水嶺を探す必要あり。
状況次第ではダイスを全部使ってる暇などないくらい切迫する局面もあるので、
そういう時はいくつか犠牲にしないといけなかったり。
ここで一つの攻防。
自分の手番終了時にダイス目の選択肢を減らすようなナットの配置にすることで、
相手のアクションを制限することができます。
これすごく大切。上手くすれば相手のダイス数を減らせたり、
そうでなくても何アクションかは無駄手番を踏ませることが可能です。
はー、疲れた。皆さんもお疲れ様です。
でもまだまだ続きます。
もうちょっと進行した画像。

頑張って引っ張ってきました。
で、「全て連結してる必要がある」という例の縛りの話ですが。
ナットの数とマップの広さがとても絶妙な関係にありまして。
2人プレイだとナットを綱引きするような感じになるんで、
自然と終了図はナットの群れが細長く伸びる形になります。
ところが。
その形に持っていくにあたって、問題になるのが連結。
単独で塊を動かしても伸びには限界が出てきます。
伸ばす為には必ず「沿え」となる別の塊がいるんですね。
でも群れ全体を引っ張り合うと、ギリギリで手元まで届くくらいの数しかないです。
だから布石というか、次に伸ばすための形を作っておくのが難しいし、楽しい。

結構ピンチです。
手前のプレイヤーもゴール目前に見えますが、
沿えがないのでこれ以上伸びません。すなわち手詰まり。
現状で出来ることは、相手のゴールを阻止して、
自分のゴールにむけての「ため」を作ること。
実は向こうのプレイヤーも6の目が3つないとあがれませんし。
一番伸びてる3つの塊部分は、ゴールの辺とは軸がずれてます。
だもんでこの塊は伸ばしても意味ないですから、
逆にこの塊を沿えにして、隣の6の塊を3回動かせばゴール。
このあたりはダイス運も必要なところです。
ダイス目の振り分けということで、
ともすると長考が入って重くなりそうな予感はありましたが、
実際にプレイするとそんなことはない、すごくサクサクすすみます。
ナットの数が多くなく、ゲームが進むに連れて群れがばらけてくるので、
自然にダイス目に対応する塊が目に飛び込んでくるというか、
判別がつきやすくなってきます。
なんだかんだ言っても、動かせるのはダイス1個につき1マスなので、
動きが把握しやすいというのもあるのではないかと。
ただ、「一旦動かした駒をやっぱり戻す」という行為を許すと
色んな意味で途端につまらなくなると思うので、そのへんはあくまでシビアに。
また、あんまり考え込んでもやっぱりつまらなくなるので
脳内思考はほどほどに。勢いよくガンガン動かしていきたいところ。
そのくらいのノリで遊んだほうが「やっちゃった!」みたいな状況も出てきて楽しいです。
んで、終局図がこれ。

ギリギリ伸ばしきられて負けました。
とにかく綱引きゲーなので、引いて引かれてと、
両者の出目次第では膠着してくる状況も確実に出てきます。
しかしそこは戦術的ナットの配置によって運を呼び込む場面だと思いたいところ。
ダイス運は平坦化されるので、やっぱりアブストラクトなんですよ。
上手く罠を仕掛けて相手のダイス目を絞ってやれば、相手の運がへこんだところで、
相手が「ナットを引き戻したいのにそれが出来ない」ってことが起こります。
こうなると自分の手番ではやりたい放題なので、局面を大きく動かせるわけですね。
そういう盛り上がりがゲーム中に何度かあって、
アブストラクトらしい緻密さ&アタマ使う楽しみと、
ダイスゲーらしい大胆さ&一喜一憂する勢いが、
上手く融合してるというか同居しています。
そういう意味ですごく遊びやすいです、このゲーム。
華やかさには欠けますが、確実にオモシロい部類。
地味に後引く妙な楽しさがあって、プレイ後に「もう一回!」といいたくなります。
プレイ時間が大して長くないのもステキです。
ただ、これはあくまで二人プレイの話。
人数が増えるほど引っ張り合いがカオスになり、
手番が回ってくるまでに局面が変化しすぎるあげく、
布石は打てないわ、膠着するわ、プレイ時間まで長くなるわ、なにもいいことないです。
多人数アブストラクトと捉えると僕も評価がぐんとさがります。
二人用だと認識していただければとても良質です。
ダイス振っちゃあ、「よえー」だの「よしきた!」だの言いながら
グダグダと遊んでいただきたいところ。
長文すんませんでした。
では。